日々の泡

読んだマンガの感想をひたすら綴るブログ。

女の子同士の友情をまじめにまっすぐ描いた良作「友だちの話」感想

「友だち」という状態を持続させるのは難しい。高校生や大学生のときはいっしょの時間を過ごしていたとしても、恋愛や結婚などのきっかけがあるとなんとなく疎遠になってしまう。だからこそ、わたしは「ずっと友だち」という言葉に憧れを抱き続けているんだと思います。

  

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これだけ仲いい友達だって

彼氏つくるのと同じくらい

ムズかしいと思うよ

 

今回取り上げるのは 山川あいじ×河原和音の「友だちの話」。地味子の「英子」とギャルの「もえ」、性格も好きなものも全然似ていないのに、いっしょにいると不思議と心地いい。そんなふたりの女の子の固い絆でむすばれた友情を丁寧に描いた作品です。 

 

あらすじ 

地味な外見で弱気な性格の英子と、誰もが振り返る美少女で強気な性格のもえ。何もかも真逆ともいえるほど違うふたりは、仲良しの友人同士。

外見が良いもえに言い寄ってくる男子は多いのですが、もえは英子のことが大好き。「自分よりも英子を大切にしてくれる」人でないと付き合えない、ときっぱり言い放ちます。その結果、多くの男子はあっさり引いていくのですが…。

もえの出した無茶な条件を満たせるよ、と言う優しいイケメン「土田」がふたりの前に現れて…?

一人の男子が間に入ったことによって変化していく、もえと英子の関係性。ふたりの感情の揺れ動きや心情の変化が、登場人物の視点を変えて繊細に描かれています。

 

 もえと英子

思ったことをはっきり口にするもえの性格を知ると、人々は身勝手に離れていきます。誰かに期待して傷付けられるのを恐れ、他人に壁をつくっていたもえの心に飛び込んできたのは英子だけ。もえは英子のことを誰より大切に思うようになりました。

一方、やさしくて自己主張が苦手な英子は、もえのはっきりした性格を羨ましく思っていました。嫌なことははっきり断れるもえに対して、英子は「もえのそういうとこいいな」と声をかけるのでした。

彼女たちは全然違うからこそ、足りないところを埋めあえるし、互いを尊敬し合えるのかもしれません。

 

まとめ

繊細なタッチで描写される、登場人物の感情の機微。視点を変えて語られる物語の構成、要所要所に差し込まれたモノローグに心を動かされる良作です。

彼女たちの近くて重めの関係を「依存」といって切り捨てることは簡単かもしれません。しかし、ある種の人々にとっては、「この感覚知ってる」という懐かしいセンチメンタルを感じさせる作品ではないだろうかと思います。

 

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